サグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)

サグラダ・ファミリアはスペインのカタルーニャ州タラゴナ県レウス市出身の建築家アントニ・ガウディの傑作で、1882年から建設が続きガウディの死後100年に当たる2026年の完成を目指している。2005年7月に教会の一部が「アントニ・ガウディの作品群」としてユネスコの世界遺産に追加登録された。2010年11月7日にはローマ法王ベネディクト16世によって献堂式が行われ、教会は「バシリカ(重要な教会への称号)」として認められました。かつては完成までに300年かかると言われていたが、3DプリンターやCNC(コンピューター数値制御)工作機械そしてCAD(コンピュータ支援設計)などの活用で工期は半減。また建築作業は資金不足で滞ることもあったが、観光客が増えることによる入場料収入の伸びが工事を早める一因にもなっている。100年以上にわたって違法な建設工事を進めてきたとされるサグラダ・ファミリア。教会は1885年にサン・マルティ・デ・プロベンサルス市から建築許可を得ていて違法ではないとしていたが、バルセロナ市は1897年に同市を併合したため新たな許可が必要だと主張、協議は2年間続き2018年10月に教会が市に3600万ユーロを支払うことで許可が下りることになった。


「石の聖書」とも称されるサグラダ・ファミリア。ファサード(建物の正面部分)は3つで構成され、東側はキリストが誕生した喜びを表す「生誕のファサード」、西側はキリストの死と復活を表す「受難のファサード」、南側入り口にはキリストの栄光・現在と未来を表す「栄光のファサード」があります。「栄光のファサード」の両脇には洗礼堂と礼拝堂が、後陣(入り口と反対側の身廊の端部に設けられた張り出し部分)の両脇には聖具室が配置されています。3つのファザードの上には100メートルの「使徒の鐘楼」4本ずつ計12本が立ち並び、後陣の上には「聖母マリアの塔」が、これらに囲まれて高さ135メートルの「福音書記者の塔」が4本、そしてその中央(身廊と翼廊が交差する上)に十字架を頂く高さ172.5メートルの「イエス・キリストの塔」が立ちます。


1978年からは日本人の外尾悦郎さんが専任彫刻家として建築作業に携わっている。旅行で偶然立ち寄ったサグラダ・ファミリアに衝撃を受けたのがきっかけで、「ロザリオの間」の復元や2002年に完成した「生誕の門」の15体の天使像を手掛けている。ガウディはあまり設計図を描かない模型を重視する建築家で、残された多くの模型や数少ない図面はスペイン内戦で失われた。模型の残骸を繋ぎ合わせて復元したり手に入る限りの資料を集め、それを手掛かりにガウディが目指していたものを探っている。ガウディが遺した「オリジナリティとは、オリジンに戻ること」や「人間は創造しない。自然のなかから発見するだけだ」という言葉は大きな指針となっている。ガウディがサグラダ・ファミリアで最後に遺した言葉は「明日は、もっとよいものを造ろう」だった。1926年6月7日ガウディはサン・フェリペ・ネリ教会へ出掛ける途中テトゥアン広場の近くで路面電車にひかれ、6月10日に病院で亡くなった。

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